ソーラーセイルは、超薄膜の帆を広げ太陽光圧を受けて進む宇宙ヨットです。ソーラー電力セイルは、帆の一部に薄膜の太陽電池を貼り付けて大電力発電を同時に行います。この電力を用いて高性能イオンエンジンを駆動することで、ハイブリッド推進を実現し、効率的で柔軟なミッションが可能となります。 2010年5月21日に金星探査機「あかつき」と相乗りで打ち上げられた小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS=Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun)では、宇宙空間で帆を広げ、太陽の光を受けて加速・航行すること、さらに、帆の一部に貼り付けた薄膜太陽電池で発電できることを世界で初めて実証しました。
IKAROS紹介パンフレットはこちら(PDF:1MB)
IKAROSの成果
IKAROSは、2010年5月21日6時58分22秒(日本時間)、種子島宇宙センターよりH-IIAロケット17号機で打ち上げられました。惑星間軌道上にて太陽指向でスピン分離し、機器のチェック、姿勢制御した後に膜面(ソーラー電力セイル)の展開を開始しました。
6月9日に世界で初めて膜面の展開に成功し、翌日6月10日には薄膜太陽電池による太陽光発電を実現しました(ミニマムサクセス達成)。その後、分離カメラでIKAROSと膜面全体を撮像する実験も2回実施し、IKAROSの全景写真の撮像に成功しています。惑星間軌道上を航海するIKAROSの写真を100枚近く撮像することができました。
膜面展開後、約半年間かけて太陽光を受けて加速していることを軌道データから確認し、太陽に対する膜面の方向を調整して軌道制御を実現して、ソーラーセイルによる航行技術を獲得しました(フルサクセス達成)。
IKAROSは順調に航海を続け、12月8日には金星から約8万kmの地点をフライバイしました。本体から膜面を確認するためのモニタカメラを使って、金星を撮像することができました。
2010年12月に当初予定していた実験を無事に終え、現在も運用を継続し、宇宙ヨットを操る技術を高めています。
IKAROSの軌道上でのミッション概要を以下にまとめます。
| 5月21日 | 日本時間6:58:22打ち上げ スピン分離⇒5rpm; |
| 5月22日 | 機器チェックアウト |
| 5月24日25日 | スピンダウン⇒2rpm |
| 5月26日 | 先端マス分離 |
| 5月27日〜29日 | スピンアップ⇒25rpm 先端マス画像確認 |
| 6月2日〜8日 | 一次展開実施 |
| 6月9日 | 二次展開実施 セイル展開成功 |
| 6月10日 | 薄膜太陽電池による発電確認 |
| 6月14日 | 分離カメラDCAM2の撮像実験実施 |
| 6月16日〜18日 | スピンダウン⇒1rpm |
| 6月19日 | 分離カメラDCAM1の撮像実験実施 |
| 6月21日 | オプション機器(理学観測機)GAP、ALDNの動作確認 |
| 6月25日 | オプション機器(工学実験機)VLBI送信機の動作確認 |
| 6月28日 | 液晶デバイスの動作確認 |
| 7月7日 | GAPによるガンマ線バースト初観測 |
| 7月8日 | 太陽光子圧力による加速確認 |
| 7月13日 | 液晶デバイスによる姿勢制御成功 |
| 9月14日 | 通信不可帯に突入 |
| 9月18日 | 通信再開(LGA2を初使用) |
| 12月8日 | 金星フライバイ |
今後の計画
2010年代後半に計画されているソーラー電力セイル探査機では、高性能イオンエンジンを搭載します。直径50m級の膜面による光子加速と組み合わせて、木星およびトロヤ群小惑星を探査します。ソーラーセイルについては、米国・欧州でもミッションを検討中ですが、日本が引き続き先行して実施していくことで、太陽系大航海時代を先導します。また、薄膜太陽電池については、宇宙太陽光発電の電池開発の先駆けであり、商業利用や地球環境に貢献します。






